2021年11月15日月曜日

発達障害病歴聴取の手引き

https://drive.google.com/file/d/1xGDFiQDWk5664D7g-yOM01rSoXiCp-_m/view?usp=sharing

 「発達障害病歴聴取の手引き」と称しているが、発達障害という言葉よりフォーカスは狭い。DSM-5の自閉スペクトラム症と注意欠如・多動症の診断基準に沿った聞き取りをするときにどのようなことを意識すればよいかをまとめた文章である。

 僕はてんかん診療を中心として小児神経学の臨床については結構ブランドものと言ってもよさそうな環境でトレーニングを受けた。しかし、発達障害の臨床に関して系統的なトレーニングを受けた経験が全くない。いろいろな経緯があって発達障害専門外来を引き受けることになったのだが、半泣きの状態で書籍と論文だけを師匠としながら細々と外来を続けてきた。そのような五里霧中でジタバタしながら作ってきた病歴聴取法をまとめたものがこの「発達障害病歴聴取の手引き」である。端的に言えば僕の自己流の塊である。

 このようなものをなぜ公表するかといえば、この世には一流の臨床家によるトレーニングを受ける機会もないままに発達障害の診療をせざるを得ない状況に至った小児科医が大勢いるのではないかと考えたからである。診断基準なるものがあることは分かっているものの、その文面をどの程度に解釈すればよいのだろうかと悩んでいる小児科医にとって、絶対的な基準にはなり得なくても診療のヒントぐらいにはなるのではないだろうか。あくまで導入編である。実際に発達障害の診療を始め、結構面白いと感じた人はもっと専門的な書籍や論文に手を伸ばしてほしい。

 児童精神医学の本格的な研修を受けている人が読んで得られるものはない。ただ、そのような人がひょっと気まぐれで読み、感想や批判を送ってくださると大変ありがたい。