講義ノート(現代子ども学入門)
「子どもの障害:障害とは何か」
1. 君の考えは?
(自分の言葉で書き出してもらう、学生が何を考えているか率直な所を見る)
2. 辞書では
広辞苑:身体器官に何らかのさわりがあって機能を果さないこと。「言語―」
・時間は関係ないのか
(急性上気道炎 ⇔ 慢性閉塞性肺疾患 どちらも何らかの障りがあり機能が低下しているのだがどちらも障害だろうか)
・程度は関係ないのか
(視力:1.0・・・0.8・・・0.5・・・0.2・・・0.001、弱視は0.3未満、盲は文字を活用できない、さて視覚障害はどこからなのだろうか)
○辞書から読み取れる「障害」とは何だろう。
(長期にわたり、困るくらいに、体の機能が低下している状態を指すらしい)
(精神の機能は考慮されていないようでもある)
3. 法令(行政)での扱い
• 身体障害
– 視覚障害
– 聴覚障害
– 肢体不自由
– その他の内臓の障害(慢性腎不全、白血病、糖尿病、他)
• 知的障害
• 精神障害
– 統合失調症、気分障害、不安障害、etc
• 発達障害
– 広汎性発達障害、注意欠陥/多動性障害、学習障害
○法令から読み取れる「障害」とは何だろう。
(基本的に特定の身体機能の障害を念頭においているらしい)
(しかし、実際には種々の障害が合併していることが多い)
(「ある人」の個人的な特徴と看做されている)
4. 改めて障害とは何か
(もう一度考えてもらい、記述する)
(困っているみたいだ)
(体や精神の機能が十分ではないようだ)
(長く続くようだ)
(その人固有の特徴のようだ → 本当か?)
5. 国際的な障害の定義
(国際生活機能分類ICFの図をもとに説明する)
(ある健康状態のもとでの「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の状態がある)
(「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」は互いに影響を及ぼし合い、この3つを纏めたものが「生活機能」である)
(本人以外の要因は「環境因子」、家族や経済状態など個人的な状態は「個人因子」)
(環境因子と個人因子は生活機能に影響を及ぼし、生活機能を改善させることもあるし悪化させることもある)
(障害とは、生活機能の低下した状態であり、単に心身機能や身体構造に異常が生じた状態ではない)
(むしろ、活動や参加の状態が妨げられることが重要)
(生活機能は環境因子や個人因子によって左右されることを考えると、障害というのは個人が内包する特性ではなく個人と環境の相互作用によって決まる状態である)
(障害とは固定された状態ではなく、環境因子の状態によって悪化も改善もするし、場合によっては障害の状態を脱することもある[ただし逆もある])
障害とは、(まとめ)
• 個人と環境の相互の関係で決まる状態像である
– 独力で十分に活動できない
– 独力で十分に参加できない
• 「特別扱い」が必要な状態
– 決して「個性」などというものではない
6. 君は障害ではないのか?
(同じ人であっても属する環境の変化がどのような影響を及ぼすかを考える)
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