2026年3月27日金曜日

学校園でできるアセスメント

 最近、ある小学校の先生と雑談する機会がありました。短い時間でしたが、熱心に教育に取り組んでいらっしゃるのだろうなと思わせる、素敵な人でした。発達性読字障害(ディスレクシア)に関する話題だったのですが、印象に残った言葉がありました。その先生は「私たちはアセスメントができないので」と嘆いておられたのです。アセスメントができないので発達性読字障害の子供達に適切な援助を考えることが難しい、というような訴えだったと思います。よく考える前に喋り出す傾向のある私は、即座に「え?そんなん、ややこしい検査をせんでも教科書を音読してもらうだけでかなり当たりをつけれますよ」と返事をしていました。その先生は意外そうな顔をしているので、発達性読字障害がある子供の音読時の特徴や、多くの場合は平仮名を反射的に読めないことが基本的な特徴であることや、時間がなければ拗音促音などの特殊音節をいくつか読ませるだけでもかなりの情報が得られることや、小枝達也先生、関あゆみ先生の本を参考にすればもっとしっかりした評価を学校でもできることなどを伝えたところ、自分たちで評価できるなんて考えもしなかったというような感想を漏らされました。

 このエピソードでなるほどと思いついたことがあります。実は、学校園で子供に何らかの問題がある時、例えば集中できない、かんしゃくを起こす、喧嘩が多い、勉強についていけないなどの問題を心配した時に、保護者に医療機関で検査をしてもらってくれと強く勧める保育者や教師が実に多いのです。このことを不思議に思っていたのですが、その理由の少なくとも一部がわかったように思えました。おそらく、全てではないにしても多くの先生方はアセスメントで何をするのかを具体的に考えるのではなく、子供に発達障害に関連する問題が見られる時には専門機関で専門家のみができる「アセスメント」をしないといけないと思い込んでいるのではないでしょうか。そして、専門機関で専門家のみができる「アセスメント」をすると何かご利益があると。

 受け持ちの子供に発達障害が疑われる問題が見られる時、専門施設の専門家のみにできる特殊な検査をしないと問題の本質を把握することや、その対策を講じることができないということは滅多にありません。学校園での子供の様子を注意深く観察すればかなりの情報を集めることができますし、対策に結びつけることが可能です。ここでは発達障害に関連する、特別な検査器具がなくても学校園でできるアセスメントについていろいろ考えていきたいと思います。念のために申し上げますが、専門家が行う高レベルで複雑なアセスメントに意味がないというつもりはありません。専門家が精密にアセスメントすることによって初めてわかる子供の特徴というものもあります。ただ、発達障害を伴う子供達への支援を行う時、そこまで頑張らなくても日常生活の中で簡単にアセスメントすることで適切な支援を開始できることが多いのです。それに、専門家による精密なアセスメントは限られた施設でしかできませんので、予約しても実現するのは数ヶ月から半年以上先になることが多いです。その間、困っている子供を放置するわけにはいきません。ぜひ、教師や保育者の皆さんは勤務されている現場で、積極的にご自分でアセスメントを試みていただきたいと思います。


目次

・注意欠如多動症・自閉スペクトラム症:総論

(続く)


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