朝の支度に時間がかかり、遅刻しそうになる子供がよくいる。母親が「起きなさいよー」と言ってもなかなか起きない、「着替えなさいよー」と言ってもなかなか着替えない、「ご飯よ」と言っても別のことをしているという調子だ。共働き家庭であれば、両親ともに朝は忙しい。何としても職場に間に合うように家を出ないといけない。毎朝毎朝子供がぐずぐずとして遅刻しそうになれば、とても穏やかでいられない。
例えば、すぐに着替えられない子供は何故そうなのかを考察してみる。色々な場合が有りそうだ。着替えるという作業がひどく膨大で手間がかかる作業に思えて面倒に感じ、手をつける覚悟がなかなかできない子供がいるかもしれない。何をしたら良いのか、手順を把握できていない子供もいるだろう。今何をすべきか、今何をしている最中なのか、ということを意識し続けられないのかもしれない。何かに気を取られ、一旦気が散るとそちらに集中して着替えることに意識を戻せない可能性もある。どの要因が主体なのかは子供によって違うだろうし、1人の子供の中で複数の要因が関わっていることも多いだろう。しかし、不登校の初期など心理的な問題が生じている例を除けば、ほとんどがここに書いたことのいずれかまたは複数が原因になっているのではないかと思う。
そう考えると、取り敢えずスムーズにことを運びたければ有効な対策はある。手伝えば良いのだ。指示を出して大分時間が経ってから「まだ着替えてないの?早く着替えなさい。何をしていたの?」と怒るくらいなら、最初から「はい、パンツ」、「はいシャツ」、「あ、着るの速いねー」、「直ぐ着てくれて、ありがとう」などと声をかけながら手伝えばよほど物事がスムーズに進み、親のストレスは少ないと思う。ポイントは、着替えという全ての工程を一括して考えずに1ステップごと細かく指示を出すことと、一つ一つの作業を行う毎に褒めたりお礼を言うことである。当然、親は本人の目の前にいないといけない。さらに、本人が自発的に行動しかけている時は指示を出さずに待つことも留意すべきである。そして、着替え終わったら手柄を全て本人に献上して「君は毎日さっさと着替えるから助かるなあ。」などと褒めておけば良い。本人に付きっ切りなんて忙しくてできないと思うかもしれないが、いつまでも準備ができずギリギリになって怒り心頭に達するよりも余程楽だと思う。
朝の支度に手間取ると悩んでいる親にこういうことを言うと、何もかも手伝うと自立できないと心配する人がとても多い。自分でさせないと自立できないという考え方はとても根強い。しかし、何故子供の朝の支度で悩んでいるのだろうか。それは、いつまでたってもうまくいかないからに他ならない。2、3回の指示で自発的にできるようになったのであれば、今現在悩んでいるはずがない。何度も何度も同じように子供に指示したり叱ったりを繰り返しているから、そして成果が上がらないから悩んでいるのである。現状では、何らかの理由で現在の指示の出し方では上手くいかない、本人の立場から言えば「できない」のである。できないことを成し遂げようと、親子で足掻いているのである。
この状態はさらに、積極的に問題を拡大している可能性がある。どういうことかと言えば、繰り返し指示が出されているのになかなか指示通り動かず、最後には強く叱られるというパターンを繰り返す時、子供は何を学習しているかということを考えないといけない。指示される、上手くできない、叱られる、変わらぬ日常が繰り返される、というサイクルを繰り返すうちに、親の指示に従わなくても現実は何も変わらないということを学習してしまうのである。このサイクルを繰り返すほど、ますます親の言葉の重みは低下する。しかも、指示に従わなくても良いと学習しながらも、本人の心は平和ではない。上手くできない自分という経験を持続的に繰り返すことで、自己評価は低下するのである。「どうせ俺なんて、」という発想につながっていくのである。
僕は、物事を上手くこなせないでいる子供がいれば、どんどん手伝えば良いと思っている。成功しないまま、叱られることが日々続く状態で、子供が得るものはほとんどない。できないことが放置されたまま自立が進むとはとても思えない。日々叱られて自信を失った状態では成長するチャンスは目減りするばかりだと思う。人の力を借りながらでも、すべきことを日々きちんとしたという実績を積み上げる方が自負心を育むと思う。重要なことは自分でさせることではない。本人ができるようになったことをきちんと見極め、手助けが不必要になった部分は順次手を引いていくことだと思う。一押しすれば次の段階に進めそうな子は放置しても良い。しかし、本当に行き詰まっている子供には手助けを躊躇すべきではない。
はじめまして。SAIと申します。
返信削除俗に言う育てにくいタイプの子供を持っている・・・つもりの母です。
私の躾が下手なので、私でない親に育てられると育てにくくないかもしれません。
子供の朝の支度には、保育所時代からずっと困らされてきて、
今は小学1年生になります。
出来ない作業ではないのに、「着替えよう!」「タイマーではかろう!」と声をかけてみたり、
お仕度表やご褒美シール帳も作ってみたのですが・・・、
決して息子は着替え方が解らないのではないのです。
順番が解らないのでもありません。
でも、ただ、ボーッとしたり、他のことをしていて着替えないのです。
本気で困ったことがないからか?と思い、
ずっと声をかけなかったこともあります。
集合時間数分前まで全く動きませんでした。
(結局、1年生の間はお兄ちゃんお姉ちゃんが迎えに来てくれるので、
迷惑かけられないと、助けてしまいました。)
先に家を出て外で待っていると何十分も出て来ず、
呼びに行くとおもちゃで遊んでいたり・・・。
あまりにやらないので罵倒していたことも、
「なんでそんなにのろいの?」と嫌味を言うのもしょっちゅうでした。
小学校でもなかなか着替えないとのことです。
私にけなされ、出来ないのがさらに自信喪失してしまったんだと思います。
「甘えてるだけだ!」と思っていたのが・・・学校でもとなると話は違ってきて、
今は、息子の前に「ハイ」と一着ずつ手渡したり、
出来る日は、声掛けとタイマーを使ってしています。
朝から体が立ち上がらないのかと、早寝早起きはもちろん、
お風呂で体を温めて行かせたり、試行錯誤の日々ですが、
ここ3日ほど連続で、学校での朝の準備が早く出来ているそうです。
そういえば朝の部団の集合時間に、
ギリギリではなく余裕を持って1番に行くようになってから3日目です。
数日前に部団の集合が1番最後になった時に、
「1年、走れー!!」「はよこい!!」と強く言われていたのです。
ただでさえ、1年の足にはめちゃくちゃ速すぎる速さで歩いて登校しているのに、
その日は、さらに速く歩かされたことでしょう。
とりとめもなく、自分のことを書いてしまいまい、申し訳ありません。
ようやく最近になって、3年かかって、
着替えも支度も宿題も、出来ない間は、寄り添い、声掛け、手伝う覚悟が出来ました。
そんな矢先にここのページに辿り着き・・・
もっと早く知りたかったと思いました。
この記事の一言一句全てが、本当に本当に心から同意出来るものでした。
もっと声を大にして伝えてほしいです!
では、長々と下手くそな文章を読んでくださってありがとうございました。